ヤマレコは本日で5周年です!

2005年10月30日から数えて5年。趣味で続けたにしてはそれなりの規模のサイトにまで成長できたと思います。最初は誰もいない状態から、いまは月に20万人近くの方にアクセスいただくサイトに成長しました。使っていただいている皆さんに感謝するとともに、自分の自己満足のためにヤマレコのこれまでと今後について記事を残してみます。

ヤマレコのこれまで

カモレコの誕生

ヤマレコは、山岳会カモの会に所属していた私が、会報を作る編集局に参加したことから始まっています。
当時は、みんなの感想や写真をいちいちメールで問い合わせて集めたあと、Wordのファイルを地道に作って、プリンタで大量印刷したものを手で綴じていく、という人海戦術で会報を作っていました。
当時の編集局のメンバーと話をしていたときに「PDFか何かの形で、会報を自動で作れる仕組みがあるといいんだけど」というザックリとした雑談をしていたときに、じゃあやってみるか、と作ってみたのが始まりです。

カモの会の会員向けページのデザイン(現在)

ヤマレコ開設(2005年10月30日)

カモの会の中でもある程度システムが使われるようになったので、同じような仕組みを外でも作ればいいんじゃ?と勝手に判断して作り始めたのがヤマレコです。カモの会のシステムは自作のperlプログラムだったのですが、利用者の登録とかそのあたりが全然できていなくて、自分でそこから作る知識もなかったので、xoopsというphpベースのCMSのプログラムを使い、ヤマレコ専用のモジュールを作ってシステム化することにしました。

最初のころは、だーれも来ない閑散としたものでしたが、単に趣味としてやっていたので、システムを作ることだけに注力して作り続けようとしていました。
当時、システム更新履歴に「皆さんに使ってもらえるその日まで、地道に頑張ります。」という覚悟を書いたのをよく覚えています。

当初のデザインはこんな感じでした。

ライバル登場(2006年夏ごろ?)

細々とやっていた中で、少しずつ利用者がつき始めていたのですが、某山日記共有サイトが立ち上がったのがこのあたりの時期です。ヤマレコより後にできたサイトだったのですが、広報が上手かったこともあり当時見つけたころにはすでにヤマレコを大きく抜き去っていました。このとき広報活動の重要さを思い知りました。
これが自分の闘争心に火をつけたようで、少なくとも機能では負けないように機能強化を行いつつ、かつお金を払って広告を打ったり、Yahooのカテゴリに登録したり、SEO的なチューニングをするような広報活動も開始しました。

Yahoo! Web APIコンテスト受賞(2007年6月20日

ヤマレコのシステムとしては一般の人向けではないニッチな機能だし、どうせ分かってもらえないんだろうと思っていたので、受賞できるとは意外でした。まだサイトが残っているようです。
http://api-contest.yahoo.co.jp/

ほか2007年ごろの活動

Yahooさんの地図APIの登場(2006年12月14日)もあって、地図系の機能強化を地道にやっていた時期です。

  • yamareco.com取得(2007年1月27日)
  • 標高グラフ機能(2007年3月9日)

  • クリックによるルート入力(2007年3月31日)
  • 山データ(2007年4月5日)
  • マイページのグラフ集計(2007年5月9日)

  • 日記機能の追加(2007年7月9日)
  • 最近の訪問者機能の追加(2007年7月15日)
  • 1/25000地形図への対応(2007年8月11日)

  • 写真の一括アップロード(2007年9月25日)
  • ルートを外部ブログに貼れるブログパーツ(2007年11月10日)

デザインはあまり代わり映えしませんが・・・

2008年ごろの活動

年末年始に時間が取れることもあり、年が変わるところでそれなりに時間がかかる機能を提供しています。ほかの機能は日常的に機能を付け足したりするようなかたちで作っていました。全ルート地図は、利用者ごとに大量のルートを短時間で表示する必要があったため、技術的に苦労した機能の1つです。

ただ、2008年はモチベーションが下がっていたこともあり、数ヶ月間何もしないような時期もありました。

  • 地図印刷サイト「地図プリ」開設(2008年1月1日)

http://www.yamareco.com/map/

  • コミュニティ(2008年5月10日)
  • スライドショー(2008年6月24日)

  • 全ルート地図(2008年10月31日)

デザインも試行錯誤していました。

2009年ごろの活動

2009年は大きな機能として、「山行計画」「ガイド記事」の機能を作りました。みんなにお気に入りの山を紹介してもらう「ガイド記事」はもっと上手く回るかなと思ったのですが、作った後に機能を改善していなかったことや、そもそも記録とガイド記事の使い分けの指針を出せなかったこともあり、あまり使われない機能になってしまいました。

  • 山行計画(2009年1月26日)

  • ガイド記事(2009年6月14日)
  • 携帯サイト(2009年8月11日)

「また山に行きたくなる」というコンセプトをつくり、バナーをtomoeさんに作り直してもらいました。サイトのデザインは最近のタブ型のものに落ち着きました。

2010年の活動

記録・計画・日記の3つの大きな機能ができたところで、次は「行きたい山を探す」機能が抜けていることに気がつき、山を自動的に紹介してくれる山コンシェルの機能を作りました。
歩いた時期、距離や標高差から自動的におすすめの山を選ぶのですが、選び方はもっともっと改善できると思っています。優先度としてなかなか着手できていませんが・・・。

また、みんなでコンテンツを作っていけるWiki的な機能を作って欲しいとの要望が沢山あったのですが、単にWikiを作っても一部の人しか登録してくれないだろうという課題がありました。何とかして普段の活動の流れでWikiのコンテンツを入れてくれる仕組みを作りたいという意図で、記録の標高グラフや地図と連動したWikiとして「地名Wiki」の機能をリリースしました。
今のところ上手くいったので、さらに色々な機能に強化して行きたいです。

Google Earth連携の機能も作るのが比較的簡単な割に、インパクトが大きくて標高差も直感的にわかるので非常に好評でした。

  • 山コンシェル&プレミアムプラン(2010年1月16日)

  • GoogleEarth連携(2010年8月10日)


サンプル

  • 地名Wiki(2010年9月6日)

ほかにもブログパーツやブックレビュー、お気に入りや拍手機能にソーシャルニュースやヤマレコグッズなど色々作って企画して成功・失敗してきましたが、キリがないのでこの辺にしておきます。

今後のヤマレコ

これまで掲げてきた「また山に行きたくなる」というコンセプトは継続し、人と人がつながる場としてのサイトにしていきます。
行きたい山を探して、行きたい山の情報を収集し、装備の準備・計画書を作り、実際に山に行って、感動を記録に残す。その記録を見てまた山に行きたくなる、という登山全体のサイクルを自然に回していけるようにサポートしていくのがヤマレコの目的であり、ここは変わることはありません。

現時点では、情報収集・計画書・山の情報を探すところの一部のサポートのみであり、まだまだ改善の余地があります。たとえば、計画書の提出先も一部の警察署のみとなっており、全国の警察と連携したシステムにはできていません。カモの会向けに作っているような、計画書をほかの人にチェックしてもらったり、下山したら「下山したよ」と報告できるような仕組みも必要だと思います。

利用者の裾野を広げることにも目を向けて行きたいです。

現状、「記録を残そう」と思ってくれるのは、主にある程度山を行っている人であり、ヤマレコの利用者も山が始めてという人は少数派のようです。
今後はより裾野を広げて、登山が初めての人でも山に行った感動を残し・共有できることで、2回目・3回目の登山に進んでいって頂ける仕組みを作って行きたいです。
また、初めての登山をする人に対して、熟練者の皆さんの力を借りて情報を提供したり、ガイドや山岳会の紹介をしたり、登山の裾野を広げられる基盤を作って行きたいと思います。

熟練者の方向けにも改善が必要です。逆に山に行き過ぎていて記録を残す気にもならないというのもあると思います。記録の入力を自動化したり、普段の活動のちょっとした延長で記録を残せるようにすることで、記録を残しやすくしながら、一方で記録を残したくなるような仕組みを作っていく必要があると考えています。

また様々な登山スタイルがある中で、クライミングにはクライミング向けの、トレランにはトレラン向けの表示であったりコンテンツの登録ができるように、ある程度の登録や表示のカスタマイズも必要かなと思っています。全てをカバーした仕組みにするのは難しいですが、今後も課題の1つとして取り組んで行きたいです。

趣味でやっていることを理由に、寄り道したり、立ち止まったり少し迷ってしまうこともあると思いますが、上記の考え方を軸にしてがんばっていきますので、今後ともよろしくお願いします!